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イージー★ライダーのYYamadaのレビュー・感想・評価

イージー★ライダー(1969年製作の映画)
3.7
【ロードムービーのススメ】
   ~旅を通じて人生を紡ぐ~

◆旅の目的
 自由気ままな旅
◆旅の工程
 ロサンゼルス→ニューオリンズ

〈見処〉
①Born To Be Wild !!
 アメリカン・ニューシネマの代表作

・舞台は60年代末期のカリフォルニア。メキシコからロサンゼルスにコカインの密輸で大金を得た、通称「キャプテン・アメリカ」ことワイアット(ピーター・フォンダ
)と相棒のビリー(デニス・ホッパー)は、カスタマイズされた1965年型ハーレーダビッドソンを転がし、ルイジアナ州ニューオーリンズを目指して旅に出る。
・アメリカ西部では、農夫の家でランチをご馳走になったり、ヒッピーのコミッティーに立ち寄ったりと気ままな旅を楽しむ二人。ニューメキシコ州では、パレードに無許可参加した際に留置場に出会った、若き弁護士ハンセン(ジャック・ニコルソン)と意気投合、旅を共にする。
・フリーを体現する彼らも、南部に進むに連れ、社会から思わぬ拒絶に遭い、アメリカの虚像と格差社会の現実に直面する…
・本作は、先進性があるながら退廃的な「アメリカン・ニューシネマ」の代表作。
1969年(第42回)アカデミー賞で助演男優賞(ジャック・ニコルソン)と脚本賞にノミネート。1998年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されている金字塔的な作品。
・2人の「アンチ・ヒーロー」による「アンチ・ハッピーエンド」を体感したい。

②時代背景を学ぶ
本作は1968年に製作され、翌1969年にアメリカ公開された。この半世紀で最も若者が反体制的で先鋭的であった時代を感じながら、本作を鑑賞したい。

・アメリカ大統領はジョンソン(民主党)からニクソン(共和党)へ
・ベトナム戦争末期、反戦運動が激化
・フラワー・ムーブメント、ヒッピー文化が若者を席巻。
・世界最大のロックイベント「ウッドストック」開催(1969)

③全ては本作から始まった!
公開から50年が経ち、現在の作品群と比較すると「つかみどころのない映画」であるが、当時の固定観念を打破し、現在にも続く常識を形成した画期的な作品。

・既成のロック音楽を劇中歌で採用
・主演俳優(デニスホッパー)による、製作・監督・脚本の兼務
・「チョッパースタイル」カスタムバイクの乗車
・ドラッグ常用を作中で否定せずに描く
・また、LSD(ドラッグ)によるトリップ(幻覚)を幻想的に描写
・インディペイメント作品でありながら、メジャー配給会社並の大ヒット
・スタジオテイクなしのオールロケ撮影

③結び…本作の見処は?
○: ロックに合わせ、バイクに乗って旅をしているだけの前半部は非常に心地好い
○: 後半部~ラストにかけての不条理さは、まさにアメリカンニューシネマ。時代背景を意識して鑑賞すれば、50年後の現代人でも赴きが変わる。
○: アメリカ西部の原風景は今とかわらない。本作にて「モニュメントバレー」や「ペインテッドデザート」は景勝地として再び人気が出たそうだ。
▲: ストーリーは薄いので、物語重視の人はBGMの認識で鑑賞したほうが良いかも。
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