かわだ

イージー★ライダーのかわだのネタバレレビュー・内容・結末

イージー★ライダー(1969年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

途中まで若者の気ままなバイク旅だったのに、後半から恐ろしい展開に寒気がした。
差別、格差、保守とリベラルの対立、地域間の分断、薬物、ヒッピーなど、60年代アメリカの社会問題を詰め込み、自由な若者達と当時のアメリカ社会の閉塞感を対比して描く。(その社会問題の多くは今でもなお続く、、)

序盤のカルトっぽいヒッピー達の野営に泊めてもらうところから既に不穏な雰囲気だったけれど、ミシシッピーバーニングに出てきたような保守的で閉鎖的な田舎町に入り、田舎の男達が北部生まれの自由な若者に対して怨嗟の眼差しを向けるあたりから、一気に雲行きが怪しくなる。

道中加わるインテリ若者役のジャックニコルソンが「彼らが怖がってるのは君が象徴するものさ、自由だよ。」と言い放つ通り、自由の国を謳いながら他人の自由が許せない保守的な白人達。
一方、保守的な社会に反抗して俗世から離れたはずのヒッピー達もまた、彼らの「信仰」に縛られ、自分達以外の価値観を受け付けない閉鎖的な社会を作り出していた。
一見相反する二つのコミュニティが、本質的には同じであることが描かれる。

金を手に入れれば本物の自由が手に入ると思っていた主人公達は、旅を通してこの閉塞的な国で本当の自由など手に入らないことを悟る。

薬物で幻覚を見ているシーンでは、サブリミナル効果のように短く脈絡のないカットを繋ぎ合わせてみたりと、今見てもかなり実験的な演出が多い。

60年代アメリカの牧歌的な風景は楽しめたけど、こんなの見てしまうと怖くてアメリカの田舎に行けない笑
かわだ

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