明石です

炎の少女チャーリーの明石ですのレビュー・感想・評価

炎の少女チャーリー(1984年製作の映画)
4.5
精神エネルギーを火炎放射器のように放出するパイロキネシスを持ち生まれてしまった少女を襲う苦悩の物語。

治験が失敗した結果、超能力者を生んでしまい、その超能力者の子供がパイロキネシスに目覚めてしまう、というクローネンバーグの有名な『スキャナーズ』のオマージュのような設定が光るキング原作のSF映画。政府に追われているのにヒッチハイクで逃げる親子という、緊張感があるのかないのか判然としないストーリーの中に突如飛び込んでくる悪の組織の狂気がとても良い。

120分でこれだけ色んな表情を見せられるバリモアは本当に天才子役で、彼女の面目躍如でした。重要な場面では台詞を排除し、彼女のつくる表情だけで多くのことを語らせる。本作を見るまでは、個人的にドリュー·バリモアはどちらかというと苦手な俳優さんだったのですが、考えが460度変わった。偉大な俳優さんだったのだなあと。そして脇を固める悪役面子も、マーティン·シーンにジョージCスコットとなかなかに渋くてゴツい笑。

話によると、100万ドルの大金で映画化権を買い取られ、予算2000万ドルを費やされ製作されたという本作。SFX全盛の80年代らしく特殊効果は(やり過ぎなほどに)気合が入っていて、玉石混交のキング原作の中でもかなりの当たり。名作とさえ言えそうな気がする。思えば、デビュー作『キャリー』から『ドクター·スリープ』まで、主人公の内面の変化が、超能力として発現してしまい、そのことに苦悩する主人公というのは、彼のイマジネーションの源泉のようなところがありますね。
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