茶一郎

ハプニングの茶一郎のレビュー・感想・評価

ハプニング(2008年製作の映画)
3.4
 出ました!『ハプニング』名物!観葉植物に話しかけて説得するマーク・ウォール・バーグ!!
 冒頭のフラッシュモブ自殺から、拳銃バトンタッチ自殺、松島トモ子式ライオン自殺、芝刈り機自殺……と全米自殺博覧会映画として優秀。いっそのこと全世界でその地域性を活かした自殺を見せて60分の映画だったら良かったのに、とも思うが、そう上手くは行ってくれないM・ナイト・シャマラン監督。
 『レディ・イン・ザ・ウォーター』でディズニーと契約違反をしたシャマランが20世紀FOXに逃げ込んで作ったのが今作『ハプニング』。全米で自殺者が続出するという異常事態から家族を守るために逃げ、その謎を解こうとする理科の学校教師(マーク・ウォール・バーグ)の物語。

 基本的にシャマラン作品は「世界の真の仕組みを知る」物語に一貫しており、理科教師が世界のシステムをある奇怪な状況から知ろうとする物語として今作は分かりやすくその枠組みに当てはまっている。監督が多大に影響を受けているというヒッチコック監督の元祖パニック動物モノ『鳥』的ディザスターに、シャマランが長編監督デビュー作『翼のない天使』から反復する「家族映画」としてのシャマラン作品のテイストが組み込まれている。
 しかし、かつて『アンブレイカブル』がサスペンス・ミステリーからヒーロー映画になり、『サイン』が宇宙人襲来SFから野球映画になったように、今作『ハプニング』もディザスター映画から完全にシャマラン印の「家族・夫婦映画」に乗っ取られているあたり、シャマランは只者ではない。【短】
茶一郎

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