KnightsofOdessa

一年の九日のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

一年の九日(1961年製作の映画)
3.5
[] 70点

田舎にある原子力研究所で被爆した研究者の一年からランダムに九日を抽出した一作。シンツォフ教授の実験で二度と放射線実験を出来ないほど被爆したグーセフ、その恋人リョーリャと友人クリコフという三角関係は、Frunze Dovlatyan『Hello, It's Me!』を思い出す。科学者と家族の話だとイリヤ・アヴェルバフ『Monologue』とかも思い出す。これ以上被爆すると死ぬという段階でも、次の実験について死にに行く前提で語る感じとか前線に拘り続けるのが戦争映画のそれ。研究所、病院、ホテル、レストランなどセットが最低限の必要な機能だけ付けた無機質なハリボテ感があり、死に取り囲まれているような閉塞感があった。本作品の興味の中心は"近さ"であり、被爆=放射性物質との近さ、恋愛=人間との近さを表しているので、セットの背景=端などには興味ないんだろう。だからこそ、三人の関係性にフォーカスし、彼らの目線を追うわけだが、グーセフはほとんどリョーリャの方を見ないし、リョーリャはほとんどクリコフの方を見ない。全員が横に並んで前か後を向いてる感じ。
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