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SF最後の巨人のHKのレビュー・感想・評価

SF最後の巨人(1975年製作の映画)
3.0
昔見た日本版ポスターは上半身裸で仁王立ちのユル・ブリンナーのインパクトが強烈でしたが、この海外版ポスターは服着てますね(ジャケ写が無かったのでFilmaさんにお願いしました)。
タイトルとポスターからは内容が想像できず、私にとって長年謎の存在だった映画が激レア作品特集でCSで放送されたので録画鑑賞。

怪しい実験とか薬とかでブリンナーが仁王像のように巨大化する話?
頭ツルツルなのはその副作用という設定?
それともブリンナーは神か巨人族の末裔で大魔神みたいに悪人を成敗するのか?
・・・などと想像を膨らませながら観たら、全く違いました。

ブリンナー(当時55歳)は普通の人間の役で巨人ではありません。
原題も“The Ultimate Warrior(最後の戦士)”ですし、そもそも巨人は出ません。
タイトルがSFなのも一応近未来の設定(と言っても2012年!もはや10年前)だから。
疫病で人類の多くが死滅し廃墟となったニューヨークを舞台に、食料をめぐって生き残りグループの抗争が描かれるというありがちな世紀末設定。

この時期のブリンナーは『ウエストワールド』のロボット役の印象なんかが強く、フツーの人間役だとかえって拍子抜けながらも、なんだか貴重なものを観ている不思議な感覚あり。
腕っぷしは強い役ですが武器は己の肉体と小さなナイフのみでアクションもユルく地味。
この頃、ブリンナーはちょうど日本のTV-CM(フジカラー400)にも出ていた時期です。

本作のもう一人の主要人物はマックス・フォン・シドー(当時46歳)。この映画はこの二人の名優でなんとか成り立っているといってよく、B級作品でも手を抜かない二人の姿勢はサスガです。
監督は『燃えよドラゴン』『死亡遊戯』のロバート・クローズ。
同監督の映画がいかにブルース・リーでもっていたかが再確認できます。

本作にはSFらしい未来のセットも道具も一切出ませんから、冒頭で“2012年ニューヨーク”のテロップが出ても、未来の若者からはSFじゃなくてただの2012年当時の古い映画だと思われそうですね。
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