かじドゥンドゥン

落下する夕方のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

落下する夕方(1998年製作の映画)
3.0
何年か同居し、結婚の話も出始めているリカとケンゴのカップル。しかしリカは、パラグライダーの事故で半身不随となったある男友達のことが気に掛かっているのか、ケンゴのプロポーズをまだ受け入れられないでいる。ときおりフラッシュバックする、彼の落下の光景。

そんななか、ケンゴの方が、ハナコという別の女性に一目惚れしたと切り出し、家を出て行ってしまう。リカは、ケンゴを諦めきれず、彼がいつでも帰ってこられるように、2LDKの家に住み続けようとするも、そのためには土日も働かなければならない。

すると或る日、件のハナコが突然、リカの家に転がり込んできて、家賃を折半するから住まわせろと言う。当然ながら戸惑うリカだが、なし崩し的に奇妙な同居が始まる。

たまにケンゴを招いて3人での食事。ケンゴは明らかにハナコだけを女性として見て惹かれており、リカからすれば辛いが、それでもたまに彼の顔を見られる機会は失いたくない。他方でハナコは、別の男にも興味をもっては、ふらふらとその家に寄宿するような奔放な生活を続けており、ケンゴもリカも、彼女のその自由さに翻弄される。

自分の恋人を奪っておきながら、自由気ままに生きるハナコに対して、あるときリカが苛立ちをぶつけるが、ハナコはハナコで、厳しい母親との葛藤、幼少期に「屋根から飛び降りたら遊びに連れて行ってやる」と言ったせいで下半身不随になった弟のことなど、心の闇を抱えていることが判明。自由と自立を求めてもがき苦しむハナコの隠れた一面に共感したリカは、そのまま意気投合する。

ところがその直後、三人で食事をするはずだった日に訃報があり、ハナコが実家の浴室で遺体として見つかる。葬儀に参列した後、リカは引っ越しを決意し、ケンゴと別れる。