Rick

A.I.のRickのレビュー・感想・評価

A.I.(2001年製作の映画)
3.6
 愛されるために生まれた「永遠の子ども」は、他でもない母親からの愛を求めて彷徨い続ける。ほんものの人間の子どもになれるよう祈り続ける。忠告してくれる良心のクマをお供に、危険なサーカスへ、大人の街へ、そしてクジラのお腹の中へと。現代のピノッキオの物語はあまりに辛く、可哀想なものである。前半のAIもの然とした近未来SFものから一変して、後半では何処まで行くのかオカルトチックなところにまで突き進んでいくのは少し置いてけぼりを食らったように感じなくもない。人工知能が当時よりも当たり前になった昨今では、意識と愛情の所在に関する今作の描き方がどうしても擬人化されすぎた何かにしか見えないところもある。
 ただ第一幕のデイヴィッドが異物として現れ徐々に家に馴染んでいく様子の演出は、技法を駆使しまくっており、笑ってしまうくらい素晴らしいものだった。それ故に後半の展開には乗れなかった部分もあるかもしれない。
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