らんら

A.I.のらんらのレビュー・感想・評価

A.I.(2001年製作の映画)
3.5
王道SF感動ドラマかと思いきや、
予想以上のハードモードと悲しい展開で心が抉られます。

リアルとメルヘンとSFのバランスが絶妙。
独特の雰囲気と世界観が作り上げられています。 SFに苦手意識があった私ですが、この作品を観てその意識が変わりました。

人間のエゴがこれでもかというくらいに描かれ、人間の為だけに作られた「AI」に切なさと虚しさを感じる。

ラストも相まって、観終わったあとはやりきれない気持ちが後を引きます。

AIロボットの主人公デイヴィッドは、一見人間よりも人間らしく見えますが、「不変の愛」を持ち続けている点においては、ちゃんと非人間的です。

皮肉的な話ですが、この映画で描かれる人間は皆エゴにまみれていて、愛も簡単に移り変わります。それが悪のように描かれていますが、実際人間はそんなものです。

デイヴィッドの持つ純粋な心や、盲目的で不変の愛はこの映画ではとてもドラマチックにに描かれていますが、実際はとても非人間的でシステマチックなもの。
AI側の目線で描くことで、人間が異常に嫌な生き物に見え、対してAIがとても崇高で美しい存在に見えるのが新鮮で面白かった。

AI側の目線で描くって、よく考えてみればかなり先進的。
残酷だけど美しい作品でした。
映像は安定のスピルバーグです。
らんら

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