Hotさんぴん茶

バタフライ・エフェクトのHotさんぴん茶のネタバレレビュー・内容・結末

バタフライ・エフェクト(2004年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

主人公とその恋する女性が再会したラストシーン。この映画を思い出し、最初に浮かんだのがこのシーンだ。
映画全体の詳細は思い出せないが、だからこそ記憶しているこのシーンは自分にとって意味があるのだろう。この映画は時間が経って思い出すのに最適だと感じられた。
(実際に見たのはいつなのか、忘れるくらい前。と思ったらここに点数だけ登録していたみたいで、2014/7/21だったようだ。)

確か、この女性は、主人公の幼なじみから、恋人だったりしていたよね。すれ違っても主人公の友達の恋人とか、まあまあ距離が近かったはず。(→少し間違っているかもだけど、ともかくこの2人は知り合いだったことは確か。)
そこから何回も未来が変わり、結局最後は再会したものの2人は赤の他人だった。この2人に何か始まりそうだけど、結局何も始まっていない感じで終わっていたはず。(※)

このラストこそ本当の現実だったと、今は強く感じさせられる。それまで主人公が体験したことは今となっては過去で、幻で。そう言うと残酷かもしれないが、でもうまくは言えないがそれは良い意味で。これらは捨ててはいけないもの。こんな未来もあった、あんな未来もあった。(記憶としてはある。)

でも「今」は「ここ」にいる。それが重要なメッセージだったのかな、と。
記憶って実際、後付けされたり改変されたりすることがあるみたいなので、何かそういう記憶の性質そのものと主人公の暗躍を関連して(似たものとして)意識させられる。(夢落ちとまではいかないけど。)

自分は現在の中に過去・未来も内包してるようなイメージで生きているから、余計にそんな感覚を受けたのかもしれない。(これは過去→今→未来の順番で進んでいない感覚。常に現在に自分がいて、そこから過去と未来を「手に持って」眺めている感覚。)

実際に見た当初はラストがなんとなく引っかかる…、切ないと思っていたはずだが、今になってなんとなく爽やかで納得できるラストだったと感じる。

抽象的な感想になってしまったけど、忘れないうちに記録したかった。
もう一度、実際にこの映画を見て確かめたい。

※ラストシーンについて:
調べたらどうもラストシーンが複数、あるみたいで。自分の遠い記憶を呼び覚ますと何かDVDの特典映像で分けられていた気がする。自分の記憶しているラストシーンがそのどれなのか定かではないけど、きっと自分が覚えてるのは「記憶したい」ラストだったんだろう。ますますこの映画、「記憶」というものについて考えさせられる。

このことでさらに思った、この映画、メタ構造が多肢に渡って面白い。そしてそれが、題名の「バタフライ・エフェクト」と呼びたくなるような広がり方を見せていたように思う。

1.主人公が本編で過去を改編すべく暗躍。

2.複数のラストの存在。

3.それを見た人の記憶と選び取ったラストの違い。

4.人により選び取ったラストが違って、話が食い違ったりする。(久々に思い出して話したりすると特に。)

5.現実でも同じ物事で記憶が食い違うことがあるから、それを人為的に引き起こしてるみたいになってる!

6.またこれにより映画内のラスト、いろんな未来があったはずだけど「今」「ここ」にいる、という主人公がおそらく体感したことが、その映画を見終わった人たちの心の中にも続いてく感じがある。

まるで「記憶」に関する社会実験に巻き込まれたような気分だ。どの映画もこのような影響力、バタフライ・エフェクトはあるが、この作品は扱ってる主題が主題なだけに、特に際立って感じられた。

補足(嫌な意味で):
なおこちらはこの映画の嫌な記憶。
主人公が恋する女の子の父親は、主人公の子ども時代にこの女の子と主人公に悪いことをしようとしていた。描写はぼやかされていたけど、だいぶ気持ち悪かった。でもその後主人公が頑張って過去を変えて、この事実を消したのは良かった。…としても、そんな性質を持った人が女の子の父であることは変わらないので、後味悪いよね…。(これが本当は父の本性じゃない、と信じたいけど無理そう…。)こんな嫌な記憶は、時に意思と反して頭に残りやすいから困る。
でもそれを差し置いて、上に書いたシーンを真っ先に思い出したから良かった!