これがデビュー作品となった長谷部安春監督の懲りに懲りまくった演出の数々とスピーディーな語り口によって日活ならではの無国籍アクションがワンランク上の娯楽アクション映画へ。オープニングでは戦場にいた小林旭がいつの間にか事件に巻き込まれているという冒頭をはじめ目まぐるしい展開があまりにも速すぎるけれど、話のポイントは押さえているので誰でも楽しめるのが◎。
あと小林旭が松原智恵子を口説いていた飛行場から二人でレストランで食事しているなどといった大胆な省略も光る、敵に囚われていた松原を助けた小林旭が料理をしたり部屋で色んなことをしつつ会話をする場面(照明がいちいち変化するのがまた凝っている)も普通の映画でありがちな状況の説明をただ部屋で語っている演出へのアンチテーゼのようで新人監督の意気込みが伝わる。
松原がカギを握る隠された金塊のありかをめぐって謎の女性犯罪グループブラックタイツと犯罪組織、主人公が争う物語はあまりにも荒唐無稽ではあるが、最良のテンポと巧妙に挟み込まれるアクションによってレジェンド伊藤大輔の時代劇を彷彿とさせる目の離せない面白さに。あと当初は敵役っぽかったブラックタイツが次第にそのバックボーンがわかるにつれ主人公より感情移入して最後には一人一人散っていく彼女たちの勇姿にホロリとさせられるはず。
それからこの作品が好きなのは邦画では珍しく成功した艶笑シーンがあるからかも、「笑うとって筋肉が緩むだろ」(これを本当に格好だけでも演じた小林旭と北あけみも凄いが)。
