このレビューはネタバレを含みます
親は子に、何を与え、与えないか。
子は親から、何を受け取り、受け取らないか。
反戦運動に傾倒した両親とその子ども。本作はこの家族を中心に、世代間による“継承”と“反抗(カウンター)”を描いた作品であると感じた。母・アニーは、息子・ダニーに“才能(ピアノ弾き)”を与え、父・アーサーは、最終的にではあるが自分たちの“闘争”からダニーを開放した。親への反抗という普遍的なテーマを細かい人物描写で描くとともに、その全てに反抗するのではなく、何を受け取るかを自ら“選択する”ということも同時に描いている。もちろん、人生のすべてが家族から与えられるものではないが。個人的ハイライトは、アニーが14年ぶりに父と再開するシーン。「何故全部捨ててしまったんだ」という父の問いに対し、アニーは何も答えられない。取り返しのつかない二人の人生を思い、胸が詰まる。
【人物像とメモ】
親への反抗からどの人物にも親と対象的な面があり、特に音楽の嗜好や素養から、ダニーはローナの父に、ローナはダニーの父に気に入られるのがおもしろい。
■ダニー父・アーサー
両親も自分と同じ活動家(ボルシェヴィキ)だったため、幼少期から容易に会えなかった様子。子どもと離ればなれにならないよう必死。
■ダニー母・アニー
父はアメリカ心霊協会の会長で資産家らしく、「帝国主義の豚」と痛烈に批判していた。
■ダニー
・野球好きの父に合わせ、野球チームに入る。
友達には「野球は僕の命だ」とうそぶく。
・母から教わったピアノは大好きな様子で、
音楽の嗜好は父とは対象的なクラシック。
・活動家の両親の影響か、「闘いは好きでは
ない」と言っている場面があり、反抗心の
未成熟な様子が伺える。
・音の出ないボードでの練習がメインのせいか、
音楽室で初めてピアノを弾いたときは、
それぞれの音の大きさにむらがあったが、
オーディションでは確実に上手くなっていた。
・オスカー・ワイルドの何かを読んでる。
■ローナ
・両親に偽善性を感じている。
・Papa Levi『Trouble In Africa』を聴いてた。
・カウンターカルチャー好き
→部屋にはボブ・マーリー、チャップリン、
ビートルズ、ジェームズ・ディーンの
ポスターを貼っている。
→ジェームズ・テイラー『Fire and Rain』を
そらで歌える。
※的外れかもしれませんが、自分の感じたことを書き殴らせていただきました。