mh

黄色い大地のmhのレビュー・感想・評価

黄色い大地(1984年製作の映画)
-
チェンカイコーのデビュー作で、デビュー前のチャンイーモウが撮影している歴史もの。
時代は抗日戦争――国共合作の真っ最中。
人身売買も同然の児童婚など、悪しき因習は国民党軍的なものとして処理している。いっぽうの八路軍(共産党軍)は戦時であっても、(共産党の歌に書き換えるため)童謡の収集をしている。貧困層のセーフティーネットとしての八路軍への参加など、まさに人民解放軍としての役割も担っている様子が描かれる。
検閲を突破させるための戦略的なシナリオに舌を巻く。チャンイーモウのデビュー作「赤いコーリャン」もだけど、絶対世界に出てやるという意気込みにあてられる。
舞台は「延安の娘」にも登場したような不毛な荒地。下放で追いやられてしかたなくいくようなところで農業をやっている。農業についての詳しい描写はなかった。
・年寄りのところに嫁にやらされる。
・嫁入りの際にもらうお金をあてにした人生設計。
など、アフガニスタンの悪習がテーマになった「ソニータ」とまったく同じテーマを扱っていた。イスラム原理主義がとか、儒教がとか、関係なく、アジアの広範囲にわたる悪い風習だったってことだろうね。日本でも似たような状況だったし。
雨ごいなどいち地方の宗教的儀式などもおさめてある。チャンイーモウだからか撮影もきれいで、ストーリー以外も楽しめた。ワンビンの「三姉妹」で描かれたような貧しく厳しい生活を、こんな時代からやってんだという発見もあった。
「紅いコーリャン」の姉妹編みたいな印象だった。こっちは緩くて、その代わりにあっちにはないリアリティがあった。
面白かった!
mh

mh