アランスミシー

真夜中の虹のアランスミシーのレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
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80年代フィンランド労働者問題
40年経って随分発展したな

やはり加速主義的に衰退する事でしか社会により良い変革を起こすきっかけは生まれないのか


グランドブダペストホテルへの影響


長年産業社会の最下層である炭鉱の労働者として働いて来た結果妻を失った父から人生の絶望を目の前で聞かされる生活の連続から安全志向を失い、挙句には父が自殺しても動じない挑戦志向に陥ってしまった主人公、父の遺産でありかつ形見でもあるクラシックカーを走らせ、絡んできた地元の男たちには簡単に形見である車を触らせては、そのまま強盗に遭っても追求せず。
無一文になりようやく見つけた日給の労働資金もバーで酔っぱらっては女に散財、挙句には宿である教会の宿舎も滞納する始末。
そんな彼の前にある日、駐禁の紙貼りをしていた女が現れ、仕事を投げ出して彼とくっつく事を選ぶ。
彼女はバツイチで子供の存在まで発覚するも主人公は安全志向の欠如ゆえにお構いなし。
果てには形見である車も金のため売ってしまう。

しかし、彼女との生活の中で徐々に安全志向を取り戻し、街中で見つけたかつての強盗犯へ反撃する意志まで取り戻し、その後刑務所で出会った同室の男との出会いもあり、ようやく彼の中に友人や家族という拘りが数年越しに芽生えて来る。

果たして主人公は再び、母が父と自分を捨てるまで持っていた家族という概念(安全志向)を取り戻す事ができるのか?

ラスト父の形見である車を取り戻したのもそういう意味