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真夜中の虹のTSのレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
3.5
【不運の連続】75点
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監督:アキ・カウリスマキ
製作国:フィンランド
ジャンル:ドラマ
収録時間:74分
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 アキ・カウリスマキ監督の作品は定期的に鑑賞していますが、高評価にならずともなんだか安定した作風なので好みです。しかも尺が短いのも見やすいです。今作もシュールといえばシュールなのですが、次は何が起こるのだろうと魅入ってしまう作品です。

 炭鉱の閉山により失業したカスリネンは、父の車を受け継ぎ、南の国を目指そうとする。しかし、彼の不安は続くのであったが。。

 冒頭、絶望したカスリネンの父が自殺を図ります。部屋を移動しての銃声のみのシーンなので、唖然となります。死体を写さずにカスリネンが呆然とそれを見るシーンも印象的です。そんな中、父から受け継いだキャデラックに乗り、南の国を目指すのですが、初っ端から二人組に襲われ全財産を失います。現金の虚しさを痛感しましたね。奪われたらもう一巻の終わりなのです。それにしてもビンで頭を殴られて強盗だなんて、、絵に描いたような不運続きです。

 さらに不運は終わりません。たまたま道端でその強盗を見つけて殴りつけにいくのですが、防犯カメラでがっつりその場を収められて、現行犯逮捕笑 牢獄に入れられてしまいます。この間に、たまたま知り合った1人の女性とその息子と旅をしていくという希望の光が見えたのですが、中盤からは獄中の生活が映されます。その後の展開は伏せますが、不運が8割くらい続く映画です。でも、そんなどうしようもない人生でもカスリネンは諦めないで前に進もうとしています。

 淡々と、しかし世の中の理不尽さを描いているにも関わらず、人生とはこういうものだが生きていたら良いこともある、と静かに伝えてくれているような気がしました。面白かったです。
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