フィンランド映画界の第一人者アキ・カウリスマキ監督が手掛けた逃避行ドラマの傑作「Ariel」
カウリスマキの朴訥で淡々とした演出も、そこにキャデラックとピストルと札束が加わればハードボイルドな雰囲気に早変わり!
メルヴィルやゴダールが手掛けたような一風変わったフィルムノワールへの敬意を感じさせつつも、お馴染みのユーモアをふんだんに含めながらあくまでドン底野郎の人間賛歌を貫き通します。
失職し、すべてを失った男が恋をし、不条理な罪を被って服役し、ムショ仲間と協力して逃避行を企てる。
そのムショ仲間マッティ・ペロンパーのカッコいいこと。
そして相変わらず面白いこと。
紆余曲折を経て、彼らは無事「Ariel号」に乗船することができるのか。
フィンランド語で歌う「Over the rainbow」がなんとも心に沁み入ります。
そして4月4日はアキ・カウリスマキの60歳のお誕生日!
アキちゃん還暦おめでとう!
しかし「ル・アブールの靴みがき」で始まった港町三部作は結局のところ制作されないようで、
今年ベルリン国際映画祭にて監督賞を受賞した最新作「The other side of hope」が彼の最後の作品になるそうな。
気長に引退撤回を期待しつつ、とりあえずは最新作の日本公開を心待ちにしたいと思います。