Melko

恋のためらい/フランキーとジョニーのMelkoのレビュー・感想・評価

4.0
「俺だって怖いんだ。君を失ってしまいそうで。君は自分のカラに閉じこもって心を開こうとしない」

「怖くてたまらないの。1人になるのも、誰かといるのも怖くて…今の自分は嫌いなのに、変わろうとするのも怖い。同じ仕事を一生続けるのは嫌だけど、辞める勇気もない。もう疲れたの。恐れてばかりいることに…」
「辛い過去を消すことは、俺にはできない。でもこの先何があろうと、俺がそばにいる」

アラフォー女とアラフィフ男の、不器用な歩み寄り。

ハァァ〜〜。素敵な話やったわぁ。
あらすじ読んで、期待と不安が半々。見てみると、こじらせ女とゼロ距離男のやり取りに、あらまぁ☺️🧡と、あらまぁ😩💔で気持ちが乱高下。
恋愛絡みで何やらトラウマを抱えているらしい女性、フランキー。
母親への「私が幸せじゃなくても、ママのせいじゃない」っていうセリフに何か心を揺さぶられ、冒頭5分で泣いてしもうた…疲れてたのかな…

フランキーの気持ちが個人的に凄いわかってしまって…心を開いて愛した人から裏切られたり傷つけられたことのある人間は、一見超めんどくさいメンヘラ気味のフランキーの言動から、きっと何かしら感じることがあるはず。

「私なんてどうせ」
「どうせ他の人にも同じこと言ってるんでしょ?」
「どうすべきか分かってるけど、でもどうせ…」
この人のことが気になる、好き、きっと彼も?どうすることが、たとえ一瞬でも自分にとってプラスになるのか、よく分かってる。でも………

一度経験したヒドイことをよく覚えてしまっていて、卑屈な理性が己の感情を邪魔する。人を愛することは、楽しい時もあるけれど、分かり合えなくて悲しい思いをすることもある。だったら何もしなくて良い。
それがすごく惨めだと分かっていても。
そして、フランキーのような人間は、自分の行動を全て俯瞰で見れてしまうから、理性のストップが働く。ビッチな同僚のように感情のままに動いた方が良いこともあると知りつつ、できない。どんどん殻にこもって、当たり障りのない日々を過ごして、自虐の日々を送る。

おいおい、そんな人生何が楽しいんだい!?好きなら好きって言おう!人を愛することって素晴らしいよ!
って、ゼロ距離男ジョニーは言う。

フランキーが築き上げた壁を、ジョニーは乗り越えるのではなく、正面からぶっ壊していく。お互い色々拗らせてるし人生の経験も積んでるから、道のりは平坦ではない。

隠し事は無しに。
口先だけではなく、愛してるからこそお互いの隠してることや隠したかったことを解きほぐして告白していくことで、本当に信じ合えて心も許せる関係に。
素敵だわぁ。

いつもながら、アル・パチーノは真心はあるが瞳孔の開いたゼロ距離男がよく似合うし、
フランキーの親友であるゲイ ティムを演じたネイサン・レインもいい味出してたけど、MVPはやはりフランキーを演じたミシェル・ファイファー!心優しい良い人なんだけどなんか気難しい、こんなに面倒くさい役が似合うなんて!終盤、顔をグシャグシャにして嗚咽しながらの吐露は、グッときた……ハグしたくなった😢
スカーフェイスであんなに泥沼だったコンビがこんな絡みもできるなんて、微笑ましいわ〜。あの面倒くさいやり取りにラスト40分もかけるなんてねぇ。なんか凄いリアル。

クスっとなるシーンが数多く合った中で、ドッと笑ったのは、
すったもんだあってやっと結ばれその瞬間にジョニーが歓喜の雄叫びを上げるシーン(まぁまぁな声のボリューム笑)そしてそれを聞いちゃってため息つくティム笑 と、
怒り泣きながらバスタブを掃除するフランキーに、ティムがジョニーからの鬼電を持ってきたら、受話器あげてすぐガチャン!するシーン

フランキーの年齢までもう少し。
また一つ、大事にしたい作品に出会えたわ。
Melko

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