ヤスマサ

ワールド・オブ・ライズのヤスマサのレビュー・感想・評価

ワールド・オブ・ライズ(2008年製作の映画)
3.5
中東でのテロ組織殲滅にCIAの現地エージェントが奔走するサスペンス・スリラー。
現地エージェントのロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)は、冷徹で現場を知らずに電話一本で指示を出すばかりの上司エド・ホフマン(ラッセル・クロウ)のやり方に業を煮やし、尻尾を出さないテロ組織のリーダー、アル・サリームを捕獲すための偽のテロ事件を企てる。

大筋は、あまり目新しさのない、中東を舞台にしたスパイ・スリラー。
危険に晒される現場のロジャーと、安全なところから指示を出すエドとのギャップに、ロジャーでなくても苛立たしさを覚える。
当に「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ」的なこと。
映画では題名にもある通り「嘘」がキーワードになっている。
ヨルダン情報局GIDのハニ・サラーム(マーク・ストロング)は、ロジャーに「嘘」はつくなと釘を刺しながらも力を貸すが、嘘をついてきた欧米諸国そのもので礼節を欠くエドには信用を置かず協力しない。
原題の“ BODY OF LISE ”とは、「偽りの体、塊、組織」といった意味がある。
邦題に比べると、意味を考えさせられる深い題名だ。
エンディングで、エドが「中東が好きな奴なんているもんか」と言うと、
ロジャーは、「きっとCIAはそこがいけないんだよ」と答える。
中東との不毛な争いが続くのは、ロジャーとエドとの溝のように、欧米諸国と中東との溝が深く埋め難いからだと言っているように感じる。
CIAが傲慢で、ハニ・サラームが至ってまともに見える作品。
ヤスマサ

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