空きっ腹に酒

砂時計の空きっ腹に酒のレビュー・感想・評価

砂時計(1973年製作の映画)
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再鑑賞。

ようこそ迷宮の世界へ。
足を踏み入れたら最後、もう戻ることの出来ないサナトリウム。さながらサラサラと落ちては積もり、またひっくり返してはサラサラと落ちて積もる砂時計のように、行ったり来たり、ただそこからはずっと出ることは出来ないままでいる。過去を旅し、バラバラの記憶を辿り、生前の父に触れながら、自身にも段々と迫りくる死の匂い。寝ても覚めても逃げられない夢と現実に頭が痛くなりながら辿り着いたその先。


素晴らしいほどに退廃的な世界観、けれど美しくて毒々しくて、映像を楽しむだけでも充分だと思う。「神々のたそがれ」のようにひとが画面を埋め尽くしては何かを喋っていて、映像から溢れ出てくる熱量にこちらのパワーを削られそうになる程。もう、ただただすごい。の一言なんだけど、何がすごいかはよく分からないと言うやっぱり不思議な(そしてかなしい)映画。
空きっ腹に酒

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