むっしゅたいやき

砂時計のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

砂時計(1973年製作の映画)
5.0
幻惑と陶酔、死。
ヴォイチェフ・イェジー・ハス。
ハス特有の寂し気で色彩豊かで、何よりノスタルジックな世界を彷徨い歩く様な作品である。
原作は第二次大戦中ゲットーにて射殺されたユダヤ系ポーランド人の作家、ブルーノ・シュルツによる『砂時計サナトリウム』。
原作に著者の他作を盛り込んだ内容となっている。
その雰囲気は、私の愛好するロバート・F・エイクマンの小説にも似る。

本作のストーリーも、理解は不可能。
そもそも語るも野暮であろう。
ガストン・バシュラールの『水平的時間─砂時計』と『垂直的時間─蝋燭の炎』が理解の灯となりそうではある。

死の直前に見ると云われる走馬灯が、現実世界では一瞬の事で有ろうと、本人には長く、或る意味幸せなこの作品の様なものであったら…、とは思う。

プロットもハスの言わんとする所も汲み取れないが、私の中での評価は揺るがない。
観られた事に感謝。
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