ミシンそば

ハバナの男のミシンそばのレビュー・感想・評価

ハバナの男(1960年製作の映画)
3.4
寓話とリアル志向、能天気と緊迫の間でグラグラ揺れていたような映画。
ド有名な「第三の男」の監督と脚本コンビによる、革命の少し前のキューバを舞台にしたスパイ映画。
自分はその「第三の男」を未見だけど、間違いなくそっちよりは軽めの作品だなってところが多い。
(革命以前の南米(しかし米国の傀儡でもある)って感じの大らかさが全体に漂っていた)。

主人公がスパイ活動に加担する動機が不純(金目当て)で、仕事に対してもそこまで誠実ではない。
でも主人公が蒔いた種のような感じのとばっちりで人が死んだり、自身も命を狙われたりしたもんだから、この小市民が最終的には腹を括る(それでもビシッと決まってはいないけど)。
そして多分、あらゆることを承知の上で最後にあの行動をとるセグラは、嘘の機密文書にワチャワチャする本国のお偉方よりも数枚上手だったのだろう(主人公の娘にガチ惚れして現抜かしてたのは滑稽だったが、他のキャラの方が数段滑稽なので結果セーフ)。

かなり毒の効いたコメディだけど、噛み締めるには何回か観る必要があるタイプの映画ですな。