エリオット

ハバナの男のエリオットのレビュー・感想・評価

ハバナの男(1960年製作の映画)
4.3
「第三の男」から11年後に作られた同じくグレアム・グリーン原作のキャロル・リード監督作品
今までソフト化もされなかったくらいなので一般的な評価は低いのかもしれないが、いやいやとても味があって面白い

舞台はキューバ革命前、アメリカからの援助を受けながら独裁体制を敷いていたバティスタ政権下の首都ハバナ。いかにも英国紳士然とした男(ノエル・カワード)が、現地で掃除機販売代理店を営む英移民のワーモルド(アレック・ギネス)のもとを訪ね、突然英國諜報部の「ハバナの男」としてスパイになるようスカウトしてきたところから物語は始まる…

(以下、途中までネタバレ気味)
ワーモルドは男で一人で育てた美貌の一人娘(ジョー・モロー)に滅法甘く、娘の将来のため高額の報酬に目が眩んでスパイを引き受ける。しかし、単なる一般人のワーモルドに本国に流せる情報などなく調子に乗って架空の情報をどんどん流していたところ英国首相まで巻き込む騒動となる。本国から有能な美人秘書(モーリン・オハラ)が送られてきても適当なことを言ってその場をしのごうとするが、そのうち、警察に目をつけられるわ、敵側のスパイと抗争になるわ、とシャレにならない状況に…

いわゆるシチュエーションコメディなのだが、名優アレック・ギネスが飄々と演じる主人公はちょっととぼけた感じがあってとても魅力的
後半、ある理由から、主人公が、娘にベタ惚れの警察署長(アーニー・コバックス)とウイスキーのミニボトルを駒に例えたチェスをする場面があるのだがそこはなかなかの名場面だと思う
ついでにアバンタイトルも素敵

もちろん監督お得意の斜めの構図や白黒の印影も山盛り

レンタルに回るようなことがあれば是非
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