いわゆる「時代が追いついた」って奴。
30年以上前、学生時代に見た覚えがあります。
当時からイベント映画として有名で、コスプレして映画館で騒いで見るというのがこの映画の鑑賞方法として伝えられていました。
でも、僕が見たのは平日の中野武蔵野館。
観客もまばら。
数名のコスプレファンがいて、館内で大騒ぎしているのが目障りだったことしか覚えていません。
映画自体もどこがいいのかさっぱりわからず、当時は駄作と断罪して切り捨てていたように思います。
ところが、今回30年ぶりくらいに見て、「なんと傑作ではないか」と認識を新たにしまし。
いや、傑作かどうかはよく分かりませんけど、学生時代とは違って楽しんでみることができたのはたしか。
コスプレはしないけどね。
この30年間に僕に何が起こったのか。
いや、この映画が作られてから40年、世界が変わったのか。
少なくとも、「悪趣味」に対する考え方は随分と変わったように思えます。
ティム・バートンの作品が受け入れられるようになり、変態が社会認知され、嗜好の一種としてとらえられるようになってきたんじゃないでしょうか。
様々な価値観、普通からはずれることが問題視されない、それどころか普通でないことに価値が見いだされるようになってきたというべきか。
これはいいことだと思っています。
まだまだ不徹底だとは思うけど…。
物語自体は大したことはありません、人造人間の物語です。
地球にやってきた外宇宙生命体(宇宙人)のマッドサイエンティストと、彼の作った人造人間、さらに実験室に迷い込んでしまったカップルのドタバタを描いただけ。
ストーリーと言うほどのものはなく、そこに恋愛模様がシェイクスピアの『真夏の夜の夢』のようにからんでくるだけです。
一夜の悪夢と言ったところでしょうか。
メル・ブルックスの『ヤング・フランケンシュタイン』やティム・バートンの一連の作品。『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』なんかをもうちょっと過激にナンセンスにしたような感じでしょうか。
それが、ようやく理解できるようになってきたというところでしょうか。
僕自身もそうだけど、時代が作品に追いついたという感じもします。
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