77年度のアカデミー賞は、絶対「スター・ウォーズ」と
言われていた年に、見事に「アニー・ホール」で
作品賞を受賞。
それから40数年、その数50本にも及ぶ映画の中で
評判が悪いモノが、ほぼない監督というのも珍しい。
アレンの映画は、だいたい1時間半ほどに収まり、
ユーモアに富んだ文化的な台詞を交えながらも、
それもが皮肉たっぷりのコメディ映画になっている。
「アニー・ホール」も含めて、名作、大傑作、
と言うにはちょっとはばかれてしまうけれど、
ささやかな幸せや、ちょっとした心の痛みなどを
色々な味付けで小皿に並べた感じっていうのが心地良い。
さて、「マンハッタン」
ここでのウディ・アレン扮するテレビライターの
アイザックは、バツ2で、17歳の高校生
(これがヘミングウェイの孫娘、
マーゴが演じている!!)と、
そういう関係になっている42歳。
また、彼の親友のエールは不倫をしていて、
その不倫相手メリーをも好きになってしまう。
他の映画同様、ここでもアレンは、
うだつがあがらない中年男を演じている。
その中途半端な男像にイライラする人も
結構いるだろうけれど、それも含めて
愛すべき作品に仕上がっている。
モノクロームに映し出される
NY、マンハッタンの映像や、ガーシュウィンの音楽に
アレン節とも言えるシニカルな会話が、
何度観ても酔わせてくれる。