Jeffrey

地獄のモーテルのJeffreyのレビュー・感想・評価

地獄のモーテル(1980年製作の映画)
2.8
「地獄のモーテル」

冒頭、ここは人里離れた不気味な雰囲気を醸し出す一軒の安宿。中年兄妹が経営、警官の弟、若者の末路、車の墓場、畑、収穫時期、声帯切除、土埋め、チェーンソー、豚の頭。今、人間栽培の一部始終があらわにされる…本作はケヴィン・コナーが1980年に監督した米国産ホラー映画で、この度国内初BD化され、購入して久々に鑑賞したが面白い。ホラーの定番である立ち寄った一軒家で待つ恐怖”を体験する作品の見本的な一本。そもそもカニバリズムホラー映画と言うのは配給側が嫌がる率が高いジャンルである。ホラーブーム真っ只中の70年代から80年代には様々な傑作のホラー映画が随所に現れたが、この作品はそれらとは異なり違った立場に存在していると思われる。通り掛かった旅行者を捕まえて、畑に埋めてしまい、そこから首だけをあらわに見せつけ、声を失った被害者たちがもがき苦しむのである。それを自家製ベーコンとソーセージに加工して販売して売ると言う自給自足をする兄妹の姿が滑稽である。

やはり本作の魅力は兄妹を演じた役者の2人だろう。兄のほうはカーボーイハットが似合う二枚目俳優のロリー・カルフーンで、妹役の小太りの女性はナンシー・パーソンズと言う女優で、後の「ポーキーズ」シリーズで知られるインパクトのある女優である。それと脚本にはなかったチェーンソーによるクライマックス付近の戦いは最高だろう。特に豚の頭を被った(兄)と警官のチェーンソーVSチェーンソーによる仁義なき戦いはすこぶる最高である(警官は兄の弟である)。これこそ「悪魔のいきにえ」を超えたチェンソーの本来の使い方である、こうでなくちゃいけないのだ。栽培している場面などは笑ってしまうほどコメディー色が強いが、所々こういった本格的なホラーと言う要素もある。

さて、物語はヴィンセントとアイダ兄妹が経営するモーテルでは、自家製ソーセージやベーコンが大評判。しかし、その素材は罪もない旅行者たちだった。彼らは兄妹にとらわれると声帯をかき切られ秘密の畑に頭だけ出して埋められてしまうのだ。そして収穫の時期が来ると、彼らには最悪の結末が待っていた…と簡単に説明するとこんな感じで、恐怖の人間栽培を描いた映画である。随所にツッコミどころ満載なのだがどうしても憎めないホラー映画である。車の墓場といってもいいほど湖に車が沈められており、そこから浮き上がってきた1つのマリファナなどを吸う吸入器がなんとも笑えるショットであった。なるほどなっ、若者の末路と言わんばかりの面白さだ。
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