ソフィーの命の選択と娘の悲痛な叫び声、恐怖で震え怯えた表情が脳裏に焼き付き頭が割れそうになる。心が、倫理観が、音を立てて崩れてゆく。
シューマンやベートーヴェンなどストーリーに沿ったクラシックの名曲の数々、薔薇色の頬に隠された壮絶な過去と背負う十字架、それらはまるでオペラの運び。
儚い欲望の中へ忘却を求めたが、それは死への必死の抵抗。彼女が抱える怒りと悲しみ、ホロコーストという史上最悪の出来事を私は受け止めきれない。
「ラーゲリより愛を込めて」「この世界の片隅に」と立て続けに鑑賞し、現代の日本に蔓延る煩悩にハッとする。
人生の節目に観ている大切な映画です。