Shion

名探偵コナン 時計じかけの摩天楼のShionのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

記念すべき『名探偵コナン』映画シリーズ第1弾。
小学生以来の鑑賞で、作画の雰囲気も今と違って懐かしい。
しかし、こんなに面白かったかこの作品!と思わず唸った。

冒頭できちんとあらすじを説明してくれるオープニングは一作目からのお定まり。
連載やアニメを普段から追ってるわけではないライトな客層にもきちんとアピール出来るからこそ、長期連載で物語がそれなりに動いているシリーズの映画版が、毎年興行収入を高い水準で推移できてる理由だろう。


久しぶりに観ると今の『名探偵コナン』とはだいぶ違って面白い。
まだ灰原哀も登場してない時代で、高木渉さんボイスのモブ刑事はいるが、レギュラーとしての高木刑事は未登場。
白鳥警部はこの映画が初登場だったのか……今ではすっかりレギュラーキャラであり、原作にも逆輸入されてしまった。
この初登場、知らない人も多いんじゃないだろうか(すっかり忘れていた)。

少年探偵団の中で歩美ちゃんはアイドルだったというのも観て思い出す。
今では光彦は哀ちゃんの厄介ヲタクだし、元太は鰻重に恋してる。


劇中に出てくる事件は大掛かりなメインの事件含め三件あるが、どれもツッコミ所が多々あるのはご愛嬌。
血の付いた靴下気づかず履き続けるか?とか、進言があったとは言え息子に罪をなすりつける市長はどうか?とか(息子もそれで良いのか)。
森谷帝二の変装は一切隠す気がなくないか?とかも笑


普段の連載やTVシリーズと違うことをしようとしているためか、謎解きのメインは工藤新一で、眠りの小五郎は冒頭のみ。
(これは他の映画でもそうだったか?記憶にないのでこれから探っていこう)
そのため小五郎のおっちゃんは劇中何も出来ない迷探偵なのだけど、大人になってからのおっちゃんは良い大人、良いパパ過ぎて泣けてくる。

高校生の娘にオールナイトの映画を止めるあたりも、ちゃんと年頃の娘の親をしてる。
段々と設定が盛られて実はすごい人みたいになっていくおっちゃんであるが、最初から人間的にはそれなりに良い人なのである。
娘のデートを心配そうに見送るのも本当にお父さん。病院で危ないことしたコナンのこともちゃんと心配してるしちゃんと叱る。
そりゃおっちゃんの立場からしたら同じ子供とは言え新一はちっちゃい子に何やらせとんのじゃ、て話だ。パパの極み。
活躍はないが次作が主役みたいなものなので今回はただの良いパパでOK。


中盤の見所、電車のシーンでの減速していくとこは非常に緊迫感がある。そのタイミングでテーマソングのボーカライズ版が流れるのも効いてる。
コナンの映画シリーズでこの曲が流れるのは本当に最高のタイミング。

終盤の扉越しの蘭と新一の爆弾解体のシーンも堪らない。
爆弾解体の赤か青か、この時代このネタは本当に沢山あった。一つの流行り。
そこでどういう理由付で片方を切るのかというのが最大のポイントだったわけで。
ここに「新一との赤い糸を切りたくなかった」という理由を持ってくるのが最高なんですよね。

レギュラーキャラクターもまだ少なく、コンパクトな世界の中で、TVシリーズや連載より遥かにスケールアップした物語。
さすがに最近の作品には敵うまい、と観始めたが、実はこの頃からかなり高いレベルで作られていたのだなぁ。
Shion

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