三隅炎雄

拳銃野郎の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

拳銃野郎(1965年製作の映画)
4.5
井田探が斎藤耕一の脚本を得て撮ったメタ日活映画にしてもう一つの『囁きのジョー』。大変な傑作で、これを見ると井田の前作『星と俺とできめたんだ 』が単なるおふざけデタラメではなく同様の実験的なメタ日活映画として撮られたのが分かるし、彼のTV『プレイガール』 第165話『暴力街の流れ医者』における前衛演出とも違和感なくつながっていく。無国籍アクション・任侠・青春と日活ジャンル映画間を批評的に横断しながら悲痛鮮烈なラストへたどり着くあたり只者ではなく、清順・中平ばかりが実験していたわけではないのが分かる。
脚本の斎藤耕一の側から見ると、ここでの3つに別れた殺し屋ジョーの分身、高橋英樹・伊藤雄之助・吉田毅を、中山仁・信欣三・西村晃に配置と役割を変えしてアンニュイに語り直したのが『囁きのジョー』で、その実験精神においては後のGS歌謡映画の傑作『落葉とくちづけ』にもつながる映画ということになる。
三隅炎雄

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