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WANDA/ワンダの10000lyfhのレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
3.5
おそらくコミュニケーション障害のある 30代女性ワンダの、ゆきずり男性とのゴールなき犯罪ロードムーヴィ。独特で不思議な印象を残す映画だった。監督自ら主演しており、ある程度はセルフポートレートなのだろうが、実世界での監督よりも間違いなく知性や責任感を欠くキャラ造形がなされている。彼女が実世界で感じていた抑圧や閉塞感を、ワンダという仮面を通し、表面を加工して吐露したのだろうか。本作に数年先立ち、美男美女俳優により過剰に美化されたボニクラへのアンチテーゼもあるように感じられた(実際のボニクラも本作の主人公たちのようなキャラと想像した方がしっくりする)。『アタラント号』同様「もし次作を撮っていたら」と思わされずにいられない、処女長編にして成長過程の遺作長編に特有の磁力を放つ作品。音楽はソースミュージックのみ。本作の明瞭な影響から出発し多くの傑作を生みつつあるライカートが、まるで生まれ変わりのように、ローデンのあり得たかもしれないその後を継承し体現中
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