Fumi

WANDA/ワンダのFumiのレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
4.5
これは傑作。他に類をみないタイプの作品だ。監督脚本主演のバーバラローデンについては何も知らなかったが、多くのインディペンデント映画作家に影響を与えたというのがうなずける。まるでジョンカサヴェデスの描く女と男の生々しさであり、ソフィアコッポラのガールズムービーであり、コーエン兄弟の不条理劇でもある。
16mmで捉えたアメリカのざらついた70sの田舎の風景、どこにでもいる冴えない人間達、廃れたアイスクリーム屋、冷めたハンバーガー、酒にタバコ、ブルーのクルマ。ロードムービーなのに、すべてのシーンが記憶に刻まれている。

主演のワンダは何も持たない人間だ。
金も居場所も家族も恋人も、生きる力も知恵も自分のアイデンティティすらない。
だから毎日が誘われた男についていく暮らしだ。
人生に意義なんてない。だから学ばないのだ。なぜなら、そのすべを知らないから。

今も深い余韻に浸っている。
傑作だ。
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