湯っ子

WANDA/ワンダの湯っ子のレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
3.8
きっと若い頃はワンダのようだったんだろうなっていう人を知っている。でも、ワンダはできないことはできないと言うし、ほめられたらとても控えめに笑うし、その人よりもよっぽど性格よさそうだった。だから、観客は共感したり応援したりはしなくても、彼女に反感は持たないように作られている気がする。

ワンダは容姿が良いから性的に価値がある。
だから身体を差し出せば、食べ物や寝るところ、わずかながらお金を得ることもできる。
だけど、ワンダの容姿が良いからあのゴロツキに連れて行かれたんだろうし、性的な価値は諸刃の剣だな。
これはフィル友marrikuriさんのレビューを先に読んでいてバイアスがかかってるのかもしれないけど、あのゴロツキはちょっとキレイすぎたような。普通にイケオジだし、ヒゲとかもずっと整っていて、ワンダのダメっ子なリアルさと釣り合ってない気がした。マリさんいわく「薄い」。
本作からインスパイアされたらしいケリー・ライカートの「リバー・オブ・ザ・グラス」の相方のしょっぱいパンチが効いたヘアスタイルやタトゥーの方が映画的にいかすよね、なんて思ってしまった。

バーバラ・ローデンはどうしてこの映画を作りたかったんだろう?本作は彼女の半自伝的作品らしいけど、ローデンが自身の性的魅力を自覚的に武器にしていたであろうのと違って、ワンダは「それしかないから」「そういうものだから」身体を差し出しているように見える。ワンダとローデンは全く別の人間、だけど、あの「孤独」そのものを映像化したような鉱山のとぼとぼ歩き、やけに暴力的に響くエンジン音、急かされてそそくさとやぶけたパンツを履くむなしさなんかに、彼女の心象風景が映し出されていたりするのかなと思った。



今回、たまたま本作を上映しているので行ってみた“stranger”は、今年9月にオープンしたばかりのミニシアターでした。カフェが併設されていて、きれいでお洒落。ワンダがバーガー食べてたのを見てマック行きたくなっちゃったので、カフェには寄りませんでしたが、今度はカフェも利用してみたいです。
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