こぅ

WANDA/ワンダのこぅのレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
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【忘れられた小さな傑作】

バーバラ・ローデン脚本・監督・主演による、
処女作にして遺作。

'70年ヴェネツィア国際映画祭【最優秀外国映画賞受賞】作品。

WK君のレヴューで昨年知り、期待して極力ノンリサーチ&Blu-ray予約、満を辞して鑑賞の巻〜


ペンシルベニア州東部の田舎に住むワンダ・ゴロンスキー(バーバラ・ローデン)は、単純で世間知らず、自分の居場所を見つけられずにいる主婦。
夫に離別され、子供も職も失い、有金も掏られたワンダは、少ないチャンスをすべて使い果たす。そして、薄暗い場末のバーで知り合った傲慢な男デニス(マイケル・ヒギンズor大竹まこと)について行き…。


話は、
モロ'60年代後半〜'70年代。
出だしから のほほん としたムードが'70年節炸裂!
デジタル修復された16㍉フィルムのザラついた画質の味は、リマスターされても損なわれない。

無軌道な若者
では無く、中年の、いや精神的には無垢な、、といった子持ちの母親失格キャラが見事にハマっていたバーバラ(38)。
デニスとのやりとりは滑稽にも映る。
兎に角、
ワンダのセリフが多いとか特徴的なキャラでは無いのにずっと 存在感が維持 されているのはキセキ!!
これが本作のコア。

プロットである
犯罪逃避行劇は、目新しくは無いが、ボニクラ(単なるエンタメ)とは明らかに違うテーマ、【タクシードライバー】とも似て非なる世界観を構築。

序盤では
不明瞭なジャンルも、ある一瞬の描写で明示して、その先の展開も大方予想させる。

劇伴無し!
冒頭からラストまでトーンは一緒。

⚠️若干ネタバレゾーン有り⚠️
↓ ↓



























クライマックス後、
ワンダには明らかに光が見えた、無意識に変われたのだ。
その感情、行動が顕著に出る。


ラスト、
ワンダは一体何処に向かうのだろう、、
いやもう大丈夫だろう!!
ストップモーションの余韻、、


総評:
描かれたのは病み。
ワンダは、日本にもいる。
サスペンスを纏ったドラマで、
人によっては退屈極まりない、
観る者の感受性(刺さるか)が試される逸品。


ビンタレベル★★★★☆


以下、DATAより抜粋MEMO

〇日本劇場初公開となった昨年、満席上映回が続出するスマッシュヒットを記録。
旧作の劇場公開としては奇跡的な興行収入約3,000万円を記録(公開館数:約40館)。

〇'17年、「文化的、歴史的、または審美的に重要」と後世に残す価値がある映画として【スーパーマン】、【フィールド・オブ・ドリームス】、【タイタニック】等と共に、アメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。

〇M・スコセッシ監督が設立した映画保存運営組織ザ・フィルム・ファウンデーションとイタリアのファッションブランドGUCCIの支援を受け、プリントを修復。
K・ライカート、J・カサヴェテス、M・デュラス、I・ユペール、J・レノン、O・ヨーコ、J・ウォーターズ、ダルデンヌ兄弟、S・コッポラ等が世代を超えてローデンを「不世出の映画作家」として敬意を表した。
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