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WANDA/ワンダのmat9215のレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
3.0
重機が行き交う砕石場の間近にある住居。耳に刺さるような赤ん坊の鳴き声。そこを出た女が頭にはカーラー、着るものはパジャマといった格好でボタ山に登り、石炭屑を拾う老人に小金を無心する。なんて素敵なオープニングだ。女はその格好のまま裁判所に現れて離婚に同意し、そこから地獄旅のようなロードムービーが始まる。1970年代のジャンル映画としてのロードムービーが帯びている甘ったれた感傷とは無縁の乾いた叙情だ。ケリー・ライカートの第一回監督作『リバー・オブ・グラス』は、マリックの『地獄の逃避行』よりも本作を継承している。主役の女の寄るべなさと絶望の深さにおいて。
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