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メトロポリスのmimicotのレビュー・感想・評価

メトロポリス(1984年製作の映画)
4.6
フリッツ・ラングが描く100年後の未来予想図。
約4年後(1926年製作)にその年がくる。驚いたのは、現代の貧富の格差問題に通じる内容だったこと。預言者みたいです。

地上には煌びやかな摩天楼(支配者富裕層)、地下にはおどろおどろしい要塞みたいな工場と住居(労働者貧困層)。建築物は今見ても未来的で感動したけど、そこには完全に分断された格差社会がありました。

その地下で権力者の息子がマリアと出会い、貧困層の生活に衝撃を受け、中立の立場になろうとするのだけれど...

心優しいマリアと、人造人間マリアの一人二役の使い分け演技が凄い。特に人造人間マリアの機械的な動きは目を奪われてしまうほど魅力的だった。

マリアを人造人間にコピーするときの描き方や、地下で奴隷のように働くエキストラ約36000人が、ベルトコンベアーで移動する演出は次元が違う。
そして圧巻はクライマックス!

世界を変えるのは支配ではなく、心=愛なのだと教えてくれる作品。なのに、本作をヒトラーが甚く気に入っていたことの不思議。そして時代を経て同じ映画を観てるなんてなんだか不思議なキモチ。。

芸術性、メッセージ性も高く映像描写のセンスが天才的なSF映画でした。
次は完全復元版が観たい。
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