らんらん

いとはん物語のらんらんのレビュー・感想・評価

いとはん物語(1957年製作の映画)
4.0
監督は伊藤大輔、カラー作品
主演は京マチ子、鶴田浩二
助演は小野道子、東山千栄子、浦辺粂子ら

【内容】
時代はたぶん明治後期から大正くらい、もしかしたら昭和初期?

裕福な商家のいとはん(お嬢さん)である京マチ子は残念ながら物凄いドブス、でも性格は気が利いて優しくて乙女全開な文句なし

妹たち(矢島ひろ子、市川和子)は小町娘といわれるくらいな器量なのに長女の京マチ子だけはそのあまりのドブス故に母親(東山千栄子)は娘の将来を悲観していました

そこで母親はかねてから京マチ子が好いていた番頭の鶴田浩二と一緒にしたいと考え話を進めていくのですが
実は鶴田浩二は女中の小野道子と相思相愛の仲で、、、そうとは知らず浮かれに浮かれる京マチ子、、、

【感想】
中盤の京マチ子の幸せ全開なはしゃぎっぷり、ラブラブな妄想が暴走するほど怖くなります
これ絶対突き落とすパターンってわかっちゃうやつ
文学作品、名作ってどうしても悲劇、悲恋になっちゃうんですよねー

ハッピーエンドパターンが見たかったって思うんだけどそれじゃ名作になれないんでしょうねー
鶴田浩二には小野道子がいて、それを知っても2人の幸せを応援するっていう京マチ子のいじらしさ
束の間ではあっても幸せな時間、ドキドキを経験できたことが良かったといういじらしさ
そういうのがしみじみ良いんでしょうねー

全く予備知識なく見たからこんな映画だとは思わなかったし、こんな京マチ子が見られるとは思ってなかった
DVDジャケットなんか普通に美しい京マチ子の写真だもん
劇中の京マチ子は終始ブスメイク姿、妄想の中でのみ綺麗な京マチ子になる

京マチ子をフる鶴田浩二もつらい立場
みんな京マチ子の幸せを想って一緒にさせたがるし、恋人の小野道子でさえ自分の幸せよりも京マチ子の幸せを優先させようとする
でも鶴田浩二は自分の気持ちを偽って結婚するのは京マチ子にも悪いと考え、苦しみながらもお断りする

ってことでみんなが辛くなるラストになっちゃいます
京マチ子のキャラクターがいい人だからこそ余計に辛くなっちゃうんですよね
こんな容姿で生まれて、周りには冷やかされて、、、普通ならひねくれてそうなのに終始いじらしいもんだから尚更不憫になっちゃいます
どれだけ心が美しくても目には見えないから、女は愛嬌とかも言うけどやっぱりある程度は顔よねー、、、とか考えちゃう映画
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