ジョンレノン暗殺の話。
1980年12月6日、ニューヨークに着いたマーク・チャップマンは、ジョン・レノンの住むダコタ・ハウスに向かう。目的はジョン・レノンを殺害することであった。そして殺害までの3日間を綴る……ってあらすじ。
面白かった。容疑者であるチャップマンの告白のような進行で、壊れているチャップマンを忠実に再現。ジャレッドレトさんの怪演と役作りが凄い。
まぁ多くは語るまい（笑）

⚪概要とあらすじ
1980年12月8日に起きた、元ビートルズのジョン・レノン殺害事件の真相を追った衝撃作。

1980年12月6日、ニューヨークを訪れたマーク・デイヴィッド・チャップマン（ジャレッド・レトー）は、ジョン・レノンが住むダコタハウスに向かう。レノンのファンであり、「ライ麦畑でつかまえて」を愛読する彼の目的は、レノンを殺害すること。ニューヨークに来てから3日目の朝、チャップマンは「今日が実行の日だ」と確信する...。

⚪キャッチコピーとセリフ
“何故 ジョン・レノンは 殺されたのか”

｢彼は皆を裏切ったんだ｣

⚪感想
実話を元にした作品。

ただマーク・チャップマンがジョン・レノンを殺害するまでの3日間の物語。

生々しいほどの心理描写。
ヒリヒリ感。不気味さ。恐怖。

チャップマンはどういう人物だったのか。彼という人間の分からなさ。
友好的に見えて狂気的。
劇中ではビートルズのファンの女の子や警備員と親交を深めていたりする。

何が彼を殺害へと導いたのか。
理由があってニューヨークへ来る前から決めていたのか、雑誌のインタビュー記事を読んで妬んだのか、記憶に残る偉大なことを成し遂げたかったのか、愛が行き過ぎたのか、聖書の教えなのか、『ライ麦畑でつかまえて』に影響されたのか、子供の頃にトラウマでもあったのか、障碍を抱えていたのか、色んな糸が絡まってこうなったのか。

彼なりに納得がいっていたのかは謎だけど私には全然分からなかった。

ジャレッド・レトが完全にチャップマン。
本作のために体重30キロも増量。しかも2ヶ月で増やさなくては行けなかったらしく、食事の量を増やし、炭水化物を中心にし、更にはアイスクリームを溶かして飲んでいたそう。
この姿をみて失神したファンがいるとかいないとか。
その後の生活と減量はかなり大変で痛風になり一時期車椅子生活だったり、戻すのに1年程かかり食事はレモンとハチミツだけだったとか。しかも元々ベジタリアン。
もう太りたくないそうだけどファンも多分特殊メイクでいいと思ってるはず。クリスチャン・ベールと同じで体が心配になる。
ジャレッド・レトの原型が全くないと思ったけど目はジャレッド・レトそのもので綺麗だなって思った。
役柄としては話し方や表情の不気味さが凄く伝わってきた。仕草や話し方はかなり研究したそう。

最近聴くようになったBOØWYなんだけど『NO N.Y.』という歌があって、そのなかで、ジョン・レノンの射殺事件を伝える当時の英語のラジオ放送の音声が間奏で流れるんだよね。その中で犯人の名前やジョン・レノン、オノ・ヨーコ、リンゴ・スターって聞こえたりして印象に残ってた。

ビートルズは英語の授業で曲を聞いて知っている程度でメンバーとかどういう人生だったのかはほとんど知らなかった。
今作でも描かれないけどね。

タイトルの『チャプター27』は『ライ麦畑でつかまえて』がチャプター数が26だからなのか。
原題を変えずにそのまま邦題にして良かったと思う。

ある意味この映画はチャップマンが美化されてしまう気がするし、これを見て真似する人がいるのではないかと思ってしまう。

実際にジョン・レノンがなくなっていること、加害者の美化、どこまでが本当なのかという危うさはあるが、映画としては引き込まれ、独特の空気感と演技の圧、時間を忘れる作品だった。



⚪以下ネタバレ



ラストにチャップマンのその後が字幕に出され、仮釈放が考慮されたことがあったことに驚きオノ・ヨーコの強い反対で拒絶されたようだけど、人を殺しといて簡単に出てこれちゃうの怖すぎる。
アメリカだと服役して20年経つと仮釈放される場合があるそう。
オノ・ヨーコによる10度目の仮釈放申請が2018年8月に却下されたようで釈放は早くとも2020年と書かれていた。
反省や謝罪などの更生もないから仮釈放されてしまったらビートルズのメンバーやオノ・ヨーコ、そのファンの人の命も危険にさらされるのではと思う。

チャップマンの弁護士は彼を精神異常ではなく有罪で申し立てたそう。

実際はどうかわからないけどあんなに犯人と会話している人がいたのには驚いた。そして彼が結婚していることや支援活動を行っていたことにも。

チャップマンが結婚していたグロリアは結婚して1年後にチャップマンが事件を起こしたものの離婚はしていない。二人は年に一度刑務所で44時間過ごすことが許されているそう。
グロリアはオノ・ヨーコに許しを乞う手紙を送ったり、レノンとチャップマンが天国で会えることや、チャップマンの人柄からポール・マッカートニーがチャップマンに会えば好きになるだろうと語っていたという。

⚪2人について
⚫マーク・チャップマン
・産まれてから殺害に至るまで。
本人談だが彼の父親は妻に暴力を振るい、息子に愛情がなかったそう。そうした生活の中で、彼は寝室の壁の中に住む小人たちを支配する王であるという空想に浸るように。小人たちの新聞やテレビに毎日登場し、彼らのためにヒーローのようにふるまうこともあれば、癇癪を起こして彼らを殺すこともあったが、いつも小人たちは許してくれたとか。
運動はできなかったがIQは高かった。
周囲からは幸せな家族に見えていた。
高校ではドラックに手を出し警察のお世話になることがあったが、説教会に行ったことで人が変わったように真面目に。
友人からの勧めで『ライ麦畑でつかまえて』を読み作品の主人公ホールデン・コールフィールドにのめり込む。この名への改名も考えたそう。
ベトナム難民を支援活動などを行う。子供から人気集める。
結婚を約束していた女性がいたが別の女性を愛し、罪悪感を抱く。この頃から自殺願望を。婚約者と別れ、その後自殺するためにハワイへ。そこで過ごすうちに希望が生まれ、故郷へ帰るが両親と喧嘩になりハワイへ戻り自殺を図る。猟師に見つかり一命を取り留め、神に救われたと思うようになる。その後はガソリンスタンドで働き、病院でボランティア活動として老人の介護や雑用を。
ある時幼い頃にかかったポリオのせいで足を引きずる障碍を抱えたグロリアと出会い、その後結婚。病院に務めたが神経過敏となり周囲と上手くいかずクビに。夜警になったが、強迫観念から過度な飲酒と病的な浪費が始まったかと思えば、一転して節約に夢中になったりとさまざまな衝動的で暴力的な異常行動が続くように。そして想像上の小人も再び現れるようになった。
ジョン・レノンの伝記を読み、その金満生活に怒り狂い、レノン殺害計画を小人たちに話す。10月23日に夜警を辞め、27日に銃を買い、レノンの住むニューヨークに向けて30日にホノルルを発つ。

⚫ジョン・レノン
ビートルズ解散後、息子のショーンの面倒を見るためニューヨークのダコタハウスで暮らす。1980年に音楽活動を再開させアルバム発表。同年12月8日に暗殺。だそう。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。

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サイコパスというよりかはどちらかというとソシオパス

ほとんど妄念めいたものに取り憑かれてしまってたのがよくわかる

個人的にはビートルズのリアルタイム世代では無いのでその偉大さを真に理解はできないけどカリスマを失った当時の世界の衝撃は計り知れないものがあっただろう、それくらいは容易に想像できる

「ライ麦畑でつかまえて」は良い方にも悪い方にも影響力がハンパない

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