雷かあさん

バグダッド・カフェの雷かあさんのネタバレレビュー・内容・結末

バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

20代前半に見て、感じの良い映画だと思いつつ、何か自分は良さを感じきれていないような気がしていた作品。それから早40年近く😱
そうか!こういう良さだったのね!
レビュー見ると「変な」「奇妙な」という言葉が並ぶ。わかるわかる。おばさんも昔、そう感じたわ。歳とるというのは時々こういう良さがある。

しんどい時、人は他人に優しくなれない。そういう意味では、ブレンダのとげとげしさは自然とも言える。ダンナは出て行くし子どもたちは遊んでばかりでちっとも店を手伝わない。常連も従業員もみんななんとなくだらんとしていて、ブレンダの怒りを理解してくれる人はいない。
一方のジャスミンはバグダッドカフェのどこに居心地の良さを見つけたのか。いつまでいるか決めないまま長居する。しかし少しでも役に立ちたいと思ってする手伝いも、子どもたちや常連客と仲良くすることも、ことごとくブレンダの怒りを買う。目的は何なんだ?一人で日々戦っているブレンダから見れば、「あたしの領域に入り込んで少しずつ侵食するヤツ」なのかもしれない。
ある日、ブレンダの怒りが沸点に達したところで風向きが変わる。そこから二人の間に育まれていく友情が沁みる。会話の内容はいっさい出てこないのに、互いを見る眼差しの温かさや表情の穏やかさで、信頼が深まっていることが感じられるところが秀逸。辛い時間を過ごしてきた二人の女性の人生が重なり、誰よりも二人にとって安らぎの場ができていく。安らぎと楽しさは周りの人々にも広がっていく。最初、すごいドイツ訛りだったジャスミンの英語はだんだん上手になっていく。
それにしても二人の周りの登場人物も変な人ばっかり!
最後のジャスミンのセリフが笑える。
雷かあさん

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