Charlie

バグダッド・カフェのCharlieのレビュー・感想・評価

バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)
4.1
この映画はテーマ曲Calling Youがたまらなく良いですね。発明の域に達している。映画を支える力がとにかくすごい。

ベガスに向けて砂漠を走る車の中にはドイツ人夫婦。映画の冒頭で、妻(ヤスミン)は車を降り、夫は妻を置いて走り去る。夫は車の中の魔法瓶を地面に置いていく。
その魔法瓶を拾ったのは、バグダッドカフェの女主人ブレンダの夫。彼はそれをカフェに持ち帰る。この夫婦もまた破綻寸前で、ブレンダはイライラと夫を叱りつけて夫は出ていく。
そこにヤスミンがたどり着く。

夫と破綻したヤスミンと夫が家を出て行ったブレンダ。ヤスミンはなぜか、このカフェ併設のモーテルに宿を取る。ブレンダは初めはヤスミンを嫌い、早く出て行ってほしいと願っている。

この作品は、ヤスミンが徐々にバグダッドカフェに溶け込んでいく様子が見どころで、登場する人物には無駄がなく、それぞれ個性に溢れている。

溶け込んだ後はマジックばかりで、さすがに非現実的な印象は否めないのだが、そこに現実的な問題が提示される。ビザが切れているのでヤスミンはカフェを去ることになる。
しかし、まもなくヤスミンは戻ってくる。

この作品を見ていると、決まった生き方などなくて、どの年齢になっても、どんな生活をしていても、自分が幸せになる場所へ出ていけるのだと感じます。
ここで注目は原題のOut of Rosenheim。
日本語の「バグダッドカフェ」だと消えてしまう効果が原題には含まれています。
この作品に象徴的に登場する黄色い魔法瓶にもRosenheimと書いてあります。
この魔法瓶はドイツ人夫婦の持ち物で、コーヒーが入っています。そのコーヒーはアメリカ人にはとても苦く、ドイツ人にはおいしい。魔法瓶から出るものに対するそれぞれの違いを埋める、あるいはローゼンハイム(ドイツの)から物理的に出るという意味などさまざまに読み取れます。

いずれにしろ観て損はない作品です。
Charlie

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