一人旅

ココシリの一人旅のレビュー・感想・評価

ココシリ(2004年製作の映画)
5.0
ルー・チューアン監督作。

チベット最後の秘境ココシリを舞台に、山岳パトロール隊と密猟者の攻防を描いたドラマ。

チベット高原北部に位置するココシリ(可可西里)に生息する絶滅危惧種:チベットカモシカを欧米で高価取引される毛皮欲しさに密猟する違法密猟者の一味とカモシカの保護を目的として活動する山岳パトロール隊の攻防を、ココシリの厳しい自然環境を背景に描き出した実録ドラマになっています。主演はチベット人俳優のトプギェルで、パトロール隊の熱血漢リーダーを力演しています。

平均海抜4,700mの高地にあって、広大な大地と山々に吹き荒れる吹雪、隊の行く手を阻む川、食糧・物資不足、自然が仕掛けた罠である流砂などココシリの特異な自然環境の中、希少動物保護のため密猟者を自費で取り締まる山岳パトロール隊の勇姿と哀しみを、北京からココシリにやって来て隊に同行する取材記者の目を通じて克明に描いた“大自然+僻地捜索物”であります。

密猟者に毛皮を剥がれたカモシカの死体が大量に遺棄されたシーンやパトロール隊の隊員が密猟者によって無残に殺害されるシーンなど、まるでアメリカ西部劇を彷彿とさせる―“法の及ばない世界”が描き出されていて、これが90年代後半の時点であったことに驚かされます。

蛇足1)
密猟者による乱獲でチベットカモシカの生息数は一時2万頭を切りましたが、その後の生態環境の改善により現在は年々増加傾向にあるとのこと。
蛇足2)
2017年、ココシリを含む自然保護区は世界遺産に登録されました。
一人旅

一人旅