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シベリア超特急のcamusonのレビュー・感想・評価

シベリア超特急(1996年製作の映画)
3.8
結構、普通に楽しめました。
本格推理サスペンスを期待させる、序盤のワクワク感の演出は良くできているし、
途中大きく方向が変わり、結果的にその期待は裏切られるのですが、
不思議と後味の悪さはありません。

低予算であることを逆手に取った問題作と言うこともできます。

プラットフォームおよび電車内のセットだけでほぼすべてを撮影しきっていますが、
(回想場面として別のセットもいくつかありますが)
この思い切りの良さは評価に値します。
結果として無駄なシーンが無く、列車内の閉塞感を伝えるのに功を奏しています。
下手に予算があったらこうはいかなかったかも知れません。

セットは若干チープ臭のするハリボテ感を残しているので、
記号としての書き割り的背景と役者の演技とを分離して見ることができないと
若干つらいものがあるかも知れません。
最後まで見れば、監督が仕掛けたトリックと言えなくもないところ、
素直に感心しました。

水野の演技はひどいと言えば、ひどい棒なのですが、
水野が演じるところの“マレーの虎”こと山下奉文陸軍大将が、
安楽椅子探偵として事件を解決するという設定自体が元々ひど過ぎるわけで、
それをリアルに演じることは不可能に近いことを考慮すれば、
台詞棒読みも、あれはあれでありかなと思えてくるから不思議です。

シリーズ作品になっているので是非他も見てみたいところです。
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