くぅー

人間の約束のくぅーのレビュー・感想・評価

人間の約束(1986年製作の映画)
3.9
これは老いを強烈にシビアにリアルに意識させられた余韻になりましたね…うん、ある意味、ホラーにも近い怖さを感じて見入ってしまいましたが。

認知症の祖母の死…殺人疑惑の捜査の中で、痴呆になってからの祖母と家族の日々を振り返る展開。

特に祖父と父親と母親の苦悩の描写が見所で…自分が同様になった祖母を看病した時とシンクロし、思う所が沢山あって。

そう、老いる人間…必ずしも人間として普通に老いる約束はされてない訳で、そんな中で介護する側も老いを否応なく意識して、戸惑う姿には複雑な感情を覚えましたね。

うん、“法律は人間が作った約束”って台詞が出てきますが、そんな約束事も無意味に思える境地がいずれ来るんでしょうか。

にしても、吉田喜重監督…水と鏡を巧みに使う演出は流石。

なお、俳優陣では、三國連太郎に村瀬幸子…この二人の見事な熱演に尽きます。
さらには、若山富三郎と佐藤浩市の助演ぶりも印象的で…若かりし杉本哲太らのサポートも良かった。
くぅー

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