黄推しバナナ

ヴィタールの黄推しバナナのレビュー・感想・評価

ヴィタール(2004年製作の映画)
4.0
海獣シアター PRESENTS

塚本晋也 FILM

「vital」とは、
生気が満ちているさま。
活力に溢れる さま。

交通事故により記憶を失った医大生・高木博史(浅野忠信)が事故の後遺症で魂が抜けた状態に陥り、人を肉の塊としか思えなくなる。

魂と塊

塚本晋也監督には、エレベーターの閉まった扉が深層心理の奥底にある歪な精神状態に見えるのか…
天才にはあの映像の様に映るのか…
私は凡人だと思い知らされる…

右手の二の腕に特徴のあるタトゥー
人体解剖は進んで行く
ピチャピチャと不快音が木霊する
引き込まれる高木博史
切り刻まれた肉の塊を緻密な模写
一線を越えそうな高木博史
解剖されている人は彼女の
大山涼子(柄本奈美)だった
没頭する高木博史
全てを記録に残そうと模写する高木
肉塊の彼女を愛おしく思えてきた高木
細胞の1つ1つ愛おしく思えてきた高木
残された者の苦痛
魂とは
肉体とは
どちらか1つが欠けたら
それは人では無くなるのか
肉体と魂があれば人と言えるのか
死んだ事を受け入れられない高木
火葬のドアが開けられる
棺が入れられる
お別れの時が来る
火葬のドアが閉まる
雨が降ったときの匂い
それは生きていると言う証拠
生と死の一線
生きている者は受け入れないといけない
それが生きている者の宿命
生きている者の記憶で生き続ける
彼女は躍動感のあるダンスを踊り続ける
永遠に

感想は、
魂と肉塊をテーマにあらゆる参考文献を読み漁り、解剖学者や医学生への徹底的に取材、解剖実習の立会見学を重ね完成した脚本。
死臭が臭ってきそうな張り詰めた映像。
取り憑かれてどんどん正気が抜ける緊迫感のある浅野忠信の演技。

“圧巻”の一言でしかない

①鑑賞年齢30代
②心に余裕鑑賞なし
③思い出補正なし
④記憶明確
黄推しバナナ

黄推しバナナ