Toineの感想文

悪の華のToineの感想文のレビュー・感想・評価

悪の華(2003年製作の映画)
4.0
【濃度の高い呪縛に纏わりつかれる一族】
久々のシャブロル監督作品の感想文でございます。
あまり推されていない印象ですが個人的にかなり好きなやつでした。絶品。

オープニングカットの時点で素晴らしい。
ゆっくりと家の中を徘徊するような、舐め回すような撮り方。
大変いやらしくてよろしゅうございます。
これから良からぬことが起きるのですね♬と不吉な予感を駆り立てられゾクゾクいたしました。流石。

相変わらず湿度のある、ゆっくりと少しずつ流れる水を感じる洗練されたカメラワーク。
シンメトリーを意識しているカットが特に良き。
寸止めで観る側の想像力を掻き立てる神業場面繋ぎ。終わり方。
一見華やかなものの闇がめくれて朽ちてゆく退廃美。
ポエティックな台詞の数々。
(特にシュザンヌ・フロン様の言葉「時間は存在しない」「"今"が永遠に続くだけ 」が忘れられません)
そんな素敵なものが104分の中に綺麗にそして丁寧に敷き詰められています。
シャブロル監督の審美眼がたまらなく好きです。

美しい不協和音と画で気持ちの悪い物語(カタストロフ)が進行する映画。
闇に堕ちてゆく暗喩=階段(地獄への道のり)の使い方。
私の性癖ど真ん中。
そう、シャブロルは最高なのです。

からのブノワ・マジメルさん。
以前の感想文「引き裂かれた女(2007)」の時ととぜんぜん雰囲気が違っていたので観ている途中で出演されてるのに気づきましたw
この頃のマジメル氏めちゃめちゃ好きです。
そしてフロン様も大好きなので作品内でたくさん拝見できて凄く嬉しかったです。
美しいおばあちゃん♡♡
娘さん役も入れて3人で肩組んで歩くシーンがとっても可愛かったなあ♡