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オーバー・ザ・トップのsyuheiのレビュー・感想・評価

オーバー・ザ・トップ(1987年製作の映画)
4.0
バレンタインデーにぴったりの映画だ。1987年のメナヘム・ゴーラン監督作品。

トラック運転手のホークは義父との確執から妻子と別れ賭け腕相撲を気晴らしにアメリカ中を旅する日々。病床の妻の勧めで陸軍学校を卒業した息子マイケルをトラックで迎えにきたホークだったが父を誤解するマイケルとの関係はぎくしゃく。全財産と息子の愛を賭けて腕相撲世界選手権で大勝負に挑む。

シルベスタ・スタローンが不惑と思えぬ肉体と円熟味のある演技で魅せる佳作。90分の短さながら満足度が高いのはスタローン演じるホークという朴訥だが誠実で強い男の魅力に加え、「んなアホな」という映画ならではの無茶な展開の楽しさ、そしてマイケルを演じる表情豊かな子役の存在も大きい。

最初は他人行儀だったホークとマイケルの関係は序盤でかなり改善される。これはうまい脚本で、ゆえにこそ中盤以降の2人の別離とアツい絆で結ばれる様子をたっぷり堪能できる。仲の悪い親子関係を見せるのに全尺の50%以上使う必要はないという賢明な判断だ。マイケルの表情の変化もこの効果を高める。

ベガスで開催される腕相撲世界大会の描写にも一工夫。決勝に進出する8名のうち4名の試合前インタビューという演出が臨場感を高めるしホーク以外の選手たちはWWEのレスラーのように芝居がかった獰猛さを見せつける。最強の敵ブルは試合前はホークに過剰に無礼な態度を取り続けるが勝負後の姿に潔さも。

映画の評価としては3.5くらいなんだけど90分という短いランタイムで俳優の魅力を引き出すテンポのいい脚本、わかりやすく効果的な演出で0.5オマケ。最近の映画は話題作ほど長尺になる傾向にあるがいくら良い映画でも3時間モノはそう何度も観れない。本作のような映画だと何度も観てみたいと思える。

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