Kei

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのKeiのレビュー・感想・評価

4.2
死期が近いルディとマーチンによるロードムービー。
それぞれ別の病気だがお互い死が近づいているルディとマーチンは病院で出会い、そこからまだ見たことがない海を見るための旅を始める。
犯罪をいくつも犯しながら海へ向かう一連のストーリーはそこまで新鮮なものではなかったが、ルディ&マーチンの人生とギャングの人生が病院にて交錯するまでのストーリーの展開は自分にとって新しく面白かった。
本作は冒頭から最後にかけてドイツのロックバンドであるSeligが手がけたサントラがとても良かった。
特に最後のSeligによるKnockin' On Heaven's Door(Bob Dylan)のカバーがとても心に響いた。
また終盤に風俗店True Romanceで流れていた音楽がGloria GaynorのI Will Surviveのカバーであった点に気づき改めてサントラが良いと思った。
また他作品との類似点も見つけることが出来た。
ルディとマーチンが出会うまでの簡単な流れをSeligのアイコニックなロックミュージックと共に描いたクレジットを含む冒頭の一連のシーンは、そのシーンの前にギャングが特に意味のないくだらない話をしているシーンが挿入されているという構成から明らかにタランティーノのレザボア・ドッグスを意識したものになっている(ギャングは出てこないが、少し話をするシーンの後にアイコニックな音楽と共にクレジットが流れるという構成は同じくタランティーノのパルプ・フィクションともよく似ている)。
こうしたタランティーノへのトリビュートは作中に登場するTrue Romanceという風俗店の名前にも表れていると考える。
True Romanceは93年公開のタランティーノ脚本のロマンス系ロードムービーだ。
こちらは未鑑賞なのでいずれ鑑賞しようと思う。
加えて本作品はリドリー・スコット監督の「テルマ&ルイーズ」に似ている部分もある。
中盤のあるシーンはテルマ&ルイーズのあるシーンに類似しており、また両作品で性別は異なるものの友情系ロードムービーという点が一致していると思った。
作品全体を通して特段予想外の展開はないものの、死を恐れずに残りの限られた時間を思う存分楽しんでやろうという二人の気概が感じられとてもポジティブな気持ちになった。
死にそうになるマーチンを助けるルディの姿や危機一髪の状況を楽しそうに切り抜ける二人の姿を見て改めて友情の良さをしみじみと感じた。
ドイツ製、男のテルマ&ルイーズ。
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