“ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア”
映画のタイトルでもあり、主題歌でもある。
ボブ・ディランの名曲をドイツのバンドがカバーしたものだが、気怠く哀愁のあるメロディと歌声が効果的に使われる。
主役はマーチンとルディ。
冒頭、まさに青天の霹靂というべき二人への残酷な告知。
同じ日、同じ場所で、突然突き付けられた人生の終焉について。
言葉もない二人。
そんな事急に言われてもなぁ…
って感じで悲壮感はない。
今まさに天国のドアを叩いているとは…
二人酒に浸る。
天国を語るマーチン。
“天国で流行っている事を知ってるか?
今は海を話題にする事だ”
海を見た事がないルディ。
二人は海を見に行くことに…
男二人のロードムービーが始まる。
意外にも映画はコメディータッチで進んで行く。
同じ痛みを共有する二人に芽生える友情とドタバタ劇。
思い残さぬよう、ふっきれ、いつしか迷いは無くなっていた。
幾多のピンチを乗り越え、辿り着いたその先は…
“分かってる“”何も怖くないさ”
物悲しい色をした、切ないラストシーン。
一人じゃなくて、きっと良かった。
バックに流れる“ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア”が切なさを引き立て、一層の余韻を残す。