垂直落下式サミング

怪獣島の決戦 ゴジラの息子の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.0
南洋のゾルゲル島で気象コントロールの実験が行われるが、謎の妨害電波によって失敗。島は異常高温に見舞われ、地中に眠っていた卵からは、ゴジラの息子・ミニラが誕生。生まれたてのミニラが、同じく異常高温の影響で巨大化した昆虫怪獣カマキラスたちにいじめられているところに、危機を察知したゴジラが姿を現す。
ちびっ子怪獣だからミニラだ!っていう安直さもヒドいけど、おやっさんのゴジラも、なんか顔つきおブス。嵐のなかで出てくるところで、もう目がパキってる。気のきかないデザイナーが書いたショボい恐竜みたいなアホヅラ。威厳もなにもあったもんじゃない。
この頃はビルのミニチュアを作る予算がないから、絶海の孤島にプレハブみたいな少数の研究隊を配して、ゴジラの子育てを描くことで、最低限の人間ドラマを背景に怪獣たちの生態をドラマとしてみせようとしている。この方向性は、今日のモンスターバースを先取りしていたと思われる。
ミニラはぜんぜん可愛くないけど、コメディの道化役としては大成功。石を踏んずけて転ぶところとか、ゴジラの尻尾を飛び越えようとして転ぶところとか、尻尾を掴まれてゴジラに引きずられていくところとか、ぶん殴られそうになって怯えるところとか、尻尾を踏まれたショックで口から熱線出るところとか、ガチャピンのでき損ないみたいなマヌケな表情が悲惨さを消してくれるからゲラゲラ笑える。
ゴジラのしごきっぷりも、カマキラスの容赦なさも、姿かたちを人間に置き換えたらDVなのに、まったく悲壮的じゃないのがスゴい!スーツアクター深沢政雄さんの見事な演技。小人のマーチャン。すごいあだ名。
カマキラスとクモンガは、特撮のチームワークの重要さを象徴する巨大昆虫怪獣。カマキラスは、一匹を三人で操演しているらしいが、本当に三人であの動きが出来るんだろうか?六本の手足から触覚にいたるまで、まるで生きているように動いている。テレビにおされて下火とは言え、さすがの東宝円谷特撮の職人芸。
ちなみに、シン・ゴジラで印象的に出てきたマキゴロウというキャラクターのシリーズ初出。この映画では、記者として出てくる。シリーズのなかでは、比較的に良識的な立場だった新聞屋だが、この時期からけっこうムカつくイヤなやつに変わっていく。急にやって来て邪魔ばっかするから印象悪い。