あまのうずめ

聖職の碑のあまのうずめのレビュー・感想・評価

聖職の碑(1978年製作の映画)
3.1
大正2年長野県中箕輪尋常高等小学校には有賀、清水、樋口、伊吹が“白樺派”という個性を尊重する新しい教育を行い始めている。白樺かぶれと揶揄する声もあったが、校長赤羽は暖かく見守りつつ理想だけでなく実践を学ばせることが必要と説く。視学が来校し清水は校長を非難。そんな中赤羽校長は修学旅行という実践教育の計画を提示。有賀と清水は鍛錬主義だと反対し清水は退職届を提出する。


▶︎大正2年(1913年)標高3000mの木曽駒ヶ岳の山岳遭難事故を基に書かれた新田次郎の小説を映画化したもの。11名が命を落としていて山岳事故と教育についてが描かれている。

下調べを念入りに行い実行された登山だったが不幸(と言っていいのか分からない)が重なって起きた事故の描写は詰まらせられる。撮影は木村大作。斜面の上から下から行列に迫ったアングルや山の稜線、立ちこめる霧などの撮り方は流石としか言い様がない。今よりも数段重いカメラでの苦労に頭が下がる。
凍える身体のメイクは今観ると白浮きしていてやり過ぎ感があるが、46年前なので引き算したい。

山岳事故よりも寧ろ教育現場の方を注力して観た。理想主義だろうと実践主義だろうと真に生徒のことを考え育てようとする姿・生徒を命がけで守る姿、記念碑建立の為郡や県を動かそうとする姿、胸熱だ。まだ教師が聖職と呼ばれた時代を納得させられる。

「八甲田山」の二番煎じを狙うもそんなに評価されなかったそうだが、そもそも比べるのが間違い。教師を目指す人だけで無く、教育機関の人にも観て欲しいと願う作品。