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聖職の碑のqqfowlのレビュー・感想・評価

聖職の碑(1978年製作の映画)
4.3
1913年に起きた木曽駒ヶ岳大量遭難事故の映画化。地元の中学2年生男子25名+引率の教員+OB、総勢38名が夏山で遭難して…

原作は新田次郎さんの同名小説。未読。
3000メートルも登山したら気温は何度下がるんだろうと考えながら見た。

当時、個性を尊重する新しい教育を掲げた白樺派の教員と、昔ながらの鍛錬主義派の教員が対立していて、白樺派から反対意見が出る中、登山が半ば強行されたといういきさつ(Wikipediaによれば原作者の創作という説もあるらしい)が興味深かった。どっちつかずのタヌキオヤジ、校長先生のキャラクターは特に印象的だった。この人は内心白樺派に共感していたからこそ登山に賛成したのではないかな。

権力者や指揮官が無能だったという、戦前戦中作品によくあるストーリーではなくて、どちらかというと、各者最善を尽くしたがいろいろ想定外の出来事が重なってひどい結果になってしまったという話だったように思う。

死にそうな人物は皆白塗りになるので終盤は半分ホラーのようだった。校長先生は引率のための鈴を持っていてそれがまた…。
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