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聖職の碑のclever1のレビュー・感想・評価

聖職の碑(1978年製作の映画)
3.6
歴史的な遭難事故を映画化した作品ということで、ストーリーや登場人物の言動自体を「あり得ない」とか言っても的外れなのでそこは置いておくとして、脚本はしっかりしていて、演出も古い映画であることを考慮すれば、一部を除いて違和感なく楽しめた。
一部というのは、瀕死の人の顔の青白いメイクが不自然すぎて、ちょっとコメディレベル。死体はまだ良しとするとして。まあそれも当時の映画の感覚からしたら違和感ないのかもしれないけど。
俳優陣は鉄壁で、三浦友和なんて若い頃はダイコン俳優だと思ってたけど、改めて見ると、今の日本映画やドラマの平均レベルと比べたら全然リアリティある演技に感じて、それがなんとも悲しい…
1917ということで、衣装や装備は江戸時代とたいして変わらないレベルで、天気予報は今と比べ物にならない精度の低さという前提があり、なので校長が出発直前まで何度も天気予報を確認していたり、前日に下見登山して山小屋含め問題ないことを確認していた。しかし、急激な天候悪化と、利己的な人間による当日の山小屋の焼失などの予測不能な災難が重なった。その他、子供達が小屋に残ってるのに屋根となる蓑を持っていってしまう利己的な大人の存在や、教育・教職はどうあるべきかという命題は命が関わる状況では「白樺派だ、いや鍛錬が肝心だ」とかいう議論よりもっと重要なことがあるなど、いろいろ思う所がある作品だった。
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